愛は要らない


驚いて、一瞬誰か分からなかった


「ごきげんよう、遥さん」


見惚れる程の笑顔を浮かべる遥に、周りの女性も目を奪われる


「彼女は夫人のおっしゃるとおり、まだ若い。そんな彼女を、結婚してまだ間もないのに、子どもにとられたくはありませんよ」

「まぁ・・・。遥さんは、奥様に夢中ですのね」


夫人の目が、どこか鋭く、綾野に向けられる


「えぇ。彼女は最高の女性ですから」

(よく回る舌ね・・・)


呆れてしまい、何も言う気が起きない


< 29 / 331 >

この作品をシェア

pagetop