愛は要らない
「分かった。・・・行ってきます」
祖父の激励を胸に、遥は白い紙を取り出し、握りしめた
「綾野?もう、寝たら?」
風の音しかしない外を、黙って眺めていた綾野の肩を、祖母が叩く
「・・・・・・・・・・・・うん」
「・・・・・・おやすみ」
これは、聞こえていないと判断した祖母は、諦めて自分の部屋へと戻って行った
「・・・・・・・・・・遥、離婚届、書いたかな・・・・・・」
小さく呟くと、暖かい涙が静かに頬を伝った