愛は要らない


遥には、一度も祖母の話をしたことはない

だから、祖母の家を知ってるはずもなく

ましてや、何故彼は自分がここに居ることを知っていたのだろう?


「綾野──!」


遠くで聞こえる遥の声に、綾野は速度を上げる


(追いかけて来ないでよ。・・・馬鹿みたい。なんで来るのよ)


止まった涙が溢れて、視界が潤む


(でも、一番の馬鹿は私だ。・・・嬉しいなんて・・・・・・)


期待してなかった

自分が思うより早く、遥は自分を捨てると思ったから


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