愛は要らない
遥がいなくなると、女性社員が足早に去っていく
「若いだけよね~」
「すぐ飽きられるよ」
囁き声に、綾野は聞こえないふりをしておく
「申し訳ございません、奥様」
「・・・人気があるんですね」
あの見た目で仕事ができるのだから、人気もあるだろうが・・・
「お待たせ。行こうか?」
遥の後を追いながら、綾野はエレベーターに乗り込む
「西園寺専務。お久しぶりです」
会社を出てすぐ、重役風の男性が声をかけてきた