愛は要らない
結子も応対し、綾野は後ろで遥の背中を見てみる
(あ、糸くず・・・)
「そちらが奥様ですか?」
糸くずを取ろうとすれば、呼ばれて変な形で手が止まる
「な、何か?」
手を引っ込めるわけにもいかず、とりあえず糸くずを取る
「初めまして」
「どうも・・・」
握手を交わして、とりあえず頭を下げる
「お若い奥様ですな、専務。さすがに、女性をよく知っているだけあって、若いお嬢さんの扱いも心得ていらっしゃる」