愛は要らない
他には何も、求めない
それは結局、遥が綾野に、何も与えないということ
──コンコンッ
「父さんたちが、来たみたいだね」
にっこり笑う遥は、綾野のウェディングドレスを楽しそうに整える
「まぁ・・・。綾野さん、とっても綺麗ね。ねぇ、そう思いません?あなた」
派手でもなく、地味でもない上品な着物を、見事に着こなした女性は、隣に立つ男性に、同意を求める
「・・・・・・もう一度、確かめるぞ、遥。本当に、彼女と結婚するのか?」