愛は要らない
「さて、食事はどこで・・・」
「予定があるなら、私は帰りますけど」
落ち着いた声音で、綾野は告げる
「今夜は君と過ごすことにするよ。【夫婦】だからね」
「・・・・・・そうですね」
諦めたように、綾野はため息をついた
「和食、フレンチ、中華、イタリアン・・・。何がいい?」
「・・・和食で」
「分かった。いつもの料亭に」
車の進行方向が変わった
「いつもの?」
「女性とよく行く料亭だよ。君も気に入るよ」