愛は要らない
納得、と読み終えた本をパラパラとめくる
「奥様、奥様?」
「えっ?・・・あ、あぁ。どうかしたんですか?」
未だに、この呼び方は慣れない
「お電話です」
「電話・・・?」
「崎本 梨華という女性からですが」
「梨華?」
綾野は久しぶりだと、電話に出るため庭を後にした
「はい」
『綾野?元気にしてる?ていうか、ホントに結婚したんだ?アタシ冗談だとばっかり・・・』
テンションの高い声に、綾野は少し受話器を離す