愛は要らない
「旦那さま、か・・・。父と呼んでくれてもいいのだが・・・」
苦笑いする遥の父・豊の後に続いて、綾野は豊の私室に初めて踏みいる
「かけてくれ」
「あ、はい・・・」
ソファーに座って、向かいの豊を見据える
「まぁ、話と言っても大した内容ではないのだが・・・」
「と言いますと?」
「私の父、つまりは遥の祖父が、2人に会いたいと言ってきてね」
遥の祖父・丈之助とは、結婚式に見かけたくらいで、話したことはない