一緒
めっちゃ痛いと自分でもあほやなとそっと彼女をみると、なにやら睨んでいるご様子。

「お人好しなら」

「そんなんちゃうわ!」

 びくっ

「あ、堪忍」

調子が狂う。なんで?あんな顔すんねん。

強がったり怒ったりシュンとしたり…。

ほんとかわいい。

栗色の髪の毛はプリンになりかけていて、それでもかわいくてかわいくてもう。

「まずい」

「なにがっ?」

「なんでもあらへんよ」

彼女とは一年も前に知り合って今もお互いの名前を知らない。

せやけどいいねん。聞きたいっていうより、知ってんねん。

まあ彼女は知らんやろうな猫と呼ぶくらいやし。

なんで猫やねん!!


なんて言えんかった。
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