逢瀬を重ね、君を愛す
「それにしても…自分から俺らの巣に入ってきてくれるなんていい鴨だよ」
そう聞いて彩音は愕然とした。
あの男は巻いたんじゃない。
仲間を呼びに行ってたんだと。
そして、なぜかこの状況で冷静に考えた結論。
ここが、かの有名な羅城門である。
後悔してもすでに遅い。彩音はやつらにきずかれないようにと、ギュッと自分の体を抱きしめた。
「っ…」
ふわり。
足がなぜかくすぐったい。
そっと目を開けると、ネコが彩音の足にすり寄っていた。
「っ!?」
ガタッおもわず動いてしまい、音が響く。
奴らがこっちへ駆け寄ろうとする。
もう駄目だ、と頭を抱えた瞬間。
「にゃー」
さっきまで彩音にすり寄っていたネコが、奴らの前に姿を現した。