逢瀬を重ね、君を愛す
日も暮れ、月が輝きだす頃、清雅が桜乃と一緒に来た。
「桜乃…」
「ごめん、ばれた。」
清雅の隣で静かに怒っている桜乃に、思わず蒼白になる。
「彩音様!今、あなたの置かれている状況がわかります?」
正座で向かい合い、桜乃の説教を受ける。
「ごめん、桜乃!お願い…行かせて」
「なりません。」
ぴしゃっと言いきられると、そのまま彩音は首を垂れる。
そしてどんどん涙目になる彩音は必至に涙をこぼすまいと耐えていた。
「お願い・・時間がないの…桜乃…この短い時間…一緒に居たい…」
あの宣告から日々は流れるようにすぎ、残すところもう1か月もない。
なのに、会えないの?
もう、二度と会えなくなるのに。
「私は…この出会いを、大切にしたいっ!!!」
「彩音様!!!」
「彩音!」
背中から聞こえる2人の声を振り払って、長い廊下を走り続ける。