逢瀬を重ね、君を愛す
「私っ・・・一人になっちゃったぁー・・・」
知ってる人も居ないこの世界。
安心できる場所も、自分の居場所さえない。
流れる涙は不安の証。
胸に沸き起こるのは、家族や友達。
この世界で何もない自分にそびえたつ孤独。
握り締めた手を、不意に包む暖かさがあった。
「・・・一人じゃない。俺が居る。」
顔を上げると微笑む薫がいた。
その笑顔でふっと広がる安心感。
「この世界で一人だと思うなら、俺を思い出せば良い。」
「・・・え?」
さっきの微笑みとは違う笑みを浮かべる。
自信に満ち溢れた笑みで、薫は言った。
「お前が帰るまで、俺がお前の側に居てやるよ。」