逢瀬を重ね、君を愛す
「俺が望んだから、彩音はこの時代に来た。なら、俺が満たされれば、彩音は帰れるんだよ。」
「薫…」
「俺は十分満たされた。」
ついに両手が解放され、薫の両手が優しく彩音の両頬を包み込む。
「好きだよ、彩音。俺は彩音が好きだ。」
一番聞きたかった言葉。
溢れる涙はもう止まらない。頬を包むその手に手を重ね、嗚咽を漏らす。
「ならっ…ならっ…薫が私をこの世界に呼んだのなら、責任とってよ!!!!…こんなに…こんなに好きにさせといて…帰れなんて…言わないでよ…ねえ、薫ぅ…私、帰りたくない…もっと薫と一緒にいたいっ!」
止まらない。想いは加速する。こんなに愛しいのに。すべてを捨てて、薫と生きることを選んだのに。それでも薫は認めてくれない。
困ったように眉をよせて、でも嬉しそうな表情を浮かべて。
「…こんなに思われて、俺は幸せ者だよ…」
そっと引き寄せられて、額と額がぶつかる。