逢瀬を重ね、君を愛す
第二章
知らない事が多くて
「本当に広いお屋敷…」
とりあえず屋敷の中を探検する。
お世話係になるなら…と思い、薫に話すと案内すると言ってくれたが、お付きの人に連れていかれた。
「薫も大変だよねー」
――そういえば…薫のお父さん見たことないな…
ま、帝なんだろーから簡単には会えないんだろーけど。
手を顎に当て考えながら歩いていた彩音は、急に後ろから腕を引かれた。
「うっわ!!」
抵抗することなく、後ろに倒れると人の温もりだった。
「…危ない。彩音、歩くときはちゃんと前見ろ。」
聞きなれた薫の声が耳元で聞こえ、少し熱い。
「ごめん、薫。ありがとうね」