逢瀬を重ね、君を愛す
「あっ…ごめんなさい、悪気は無かったです。だからごめんなさい~!!」
おもいっきり捕まれた手を振り払い、彩音は逃走した。
「あ、彩音!!止まれっ!!」
「止まれと言われて止まる人なんかいませんよーぉだっ!!……ふぎゃっ!!」
調子に乗って走っていると、角からやって来た人に思いっきりぶつかり、尻餅をつく。
「だから止まれと言っただろう。」
「うっ…ごめんなさい。」
走りよって来た薫の言葉に反省しながら、はっと顔を上げる。
「あ!!あのっ!!!!大丈夫ですか!?後、すみません!!!」
慌てて相手の持っていたらしい散らかった紙を拾っていく。
「ああ、大丈夫ですよ。ありがとうございます。こちらもすみません。ちょっと人を探していて、前を見ていませんでした。」
「人ですか。」
手伝ってあげようか考えながら拾った紙を手渡す。