逢瀬を重ね、君を愛す
目を見開いたまま彩音が口を開く。
「え……帝?」
薫を指差しながら、頭をコクッと横に倒す。
――うん。可愛い。
と思いながら、彩音にはちゃんと言ってなかったと思い返す。
「うん。俺が帝。」
薫の言葉に間を開けて
「嘘ぉー!!!!!!」
彩音が絶叫した。
本気で驚いているらしい。
「あ…あたし……帝って薫のお父さんだと思ってた……」
「ああ、強ち間違いじゃないな。でも、今は俺が帝だ。」
「帝………」
「…だからって、彩音が変わる事はしないでくれ。」
そっと彩音の頭に手を置き、落ち着いた口調で話す。
「今まで通りでいい。」
その言葉に少し考える素振りを見せると、彩音は笑った。
「うん。分かった。びっくりしたけど…うん。薫は薫だもんね。」
にっこり微笑む彩音に薫も微笑んだ。