逢瀬を重ね、君を愛す
しかし。
「待て。誰が女顔?」
「薫」
間髪入れず、即答する彩音。
「俺のどこが女顔なんだよ」
「そこまで綺麗な顔だし、女装してみてよ!絶対男の子ってバレないから。」
「んな事するか!!」
「…くっ…」
2人の言い合いの途中で不意に入った笑い声。
「あははっ、良いですね。女装ですか、確かに似合うでしょう。」
2人が蛍へ視線を移すと、笑っている姿が目にはいる。
笑いを納めると、蛍は彩音へ言った。
「彩音殿。この蛍、帝が幼少の頃からずっと見てきましたが、ここまで他人に本音で言い合いされる姿を初めて見ました。」
すっと彩音の前に手を出す。
「帝を、よろしくお願いしますね」
「…っぁ、は…はいっ!!」
赤くなりながらも、彩音は蛍の手を取った。
その様子に蛍は微笑む。
「申し遅れました。私、藤原蛍と申します。帝の…お手伝いをしていますので、よくお逢いできるかと。」
「あ、本式彩音です。」
ペコッと頭を下げると、薫によって握っている手を解かれた。