逢瀬を重ね、君を愛す
「桜乃ーっ!!」
着物を抱えて走ってくる彩音を冷冷しながら桜乃の手は宙をさ迷っている。
「彩音っ…そんなに走ったら」
転けるわよ。と桜乃が言う前に持っていた着物の裾を踏み、大胆にこけた。
「いったぁーいっ!!」
「だから言ったのに」
顔を上げると苦笑しながら近寄って来た桜乃が立ち上がるのを助けてくれる。
桜乃の手を借りて立ち上がった彩乃は礼を言い、桜乃は笑いながら着物を半分持つ。
ありがとうと言えば、桜乃は笑顔で頷き、何処が解れたのか尋ねる。
その場所を細かく教えながら部屋へ入った。