逢瀬を重ね、君を愛す

気になるあの人は



「おもっ…」


しばらくして書物を抱えた薫が帰ってきた。


「お帰りなさ~い」


駆け寄った彩音は薫の持っている書物を少しとる。


「ありがとな。」

「いえいえ。」


お礼を言われた彩音は、照れながら、整頓した書物の上に重ねていく。


「蛍、それくれ。」


後から入って来た蛍へ薫が手をつきだす。


「はい、これですよね?」


薫と同じ位か、それ以上の書物を軽々しく運んできた蛍に彩音は尊敬する。


「蛍さん力持ちなんですね。」

「そうですか?普通ですよ」


にっこりと爽やかな笑顔で返されると、眩しく感じる。
< 44 / 159 >

この作品をシェア

pagetop