逢瀬を重ね、君を愛す
――なんでこの時代は美形が多いのか。
2人の顔を見つめていると、彩音はフッとさっきの事を思い出す。
「あっ!!忘れてた。」
もう一人居た。
慌てて1つの書物を持つと、薫へ差し出す。
「安部くんから預かりましたっ!!」
「…安部…?…安部清雅か?」
受け取りながら尋ねてきた答えに頷く。
書物を開きながら、あいつ来たのか。と呟いていた。
「……知り合い?」
「一応な。……っか、清雅は大丈夫だったのか?」
書物から顔を上げた薫は半目で彩音を見る。
「何が?」
「………なんでもない。」
分かっていない彩音に、少し戸惑うが、結局諦める。
「え、何々??そこまで言ってたら気になるよっ!」
ガシッと薫の腕を掴んだ時、それまで傍観していた蛍が口を開いた。