逢瀬を重ね、君を愛す
「会ってみたいなぁー」
と呟いた彩音は薫の肩を掴む。
「清雅に頼めば会えるかな?」
その彩音の言葉に薫が止まる。
薫?と目の前で手を降れば、帰ってきた様で、いきなり肩を掴まれた。
「…彩音。なんで呼び捨てになった?」
「え…?だって清雅も私の事呼び捨てだから…」
「は?!」
驚いたらしい薫はブツブツ何か呟いていた。
「…呼び捨てダメかな?」
残念だと思いつつ尋ねると、薫は素早く返答した。
「そうだな。1回会ったくらいで呼び捨てはダメなんじゃないか?それに、本人にも聞くべきだと俺は思う。」
「……だよね…。ひとまず今は諦める」
残念そうに息を吐き出す彩音の後ろで、机に向かっている蛍の肩が震えていた。