逢瀬を重ね、君を愛す

笑いを堪える蛍の後ろ姿を拗ねた目で見ると、そのまま清雅が持って来た書物に目を落とす。

彩音も自分の指定席に座り込み、適当にページを開いて読んでいる。

無言で文字を読んでいた薫が、ある部分で目を止め、息を呑んだ。


「彩…音。」

「ん?」


呼ばれた彩音は本から顔をあげる。


「…そう言えば桜乃が探していたぞ。」

「え?!そうなの!?早く行かなきゃ!!ありがとう薫!!」


薫の言葉に慌てて本を戻し、部屋を出ていく。

男2人の中、蛍が薫に近寄った。
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