逢瀬を重ね、君を愛す



「…これが原因だとすると…」

「……彩音が来たことも納得だな。」


疲れた様に書物を放り投げる薫を清雅は心配した。


「…大丈夫か?」

「……ああ。」


近寄ろうとした清雅を片手で制する。


「大丈夫だ。」


「…寝てないんだろ?」


「…………」


図星。清雅の言葉通り寝ていなかった。


「……そんなに彩音の事気に入ってんだな。」


そう言われ、薫は驚いた顔をする。

そして微笑んだ。


「そうみたいだ。」


優しく微笑む薫の顔を見て清雅は安心とともに不安を覚える。


かつて、彼の隣にいた女の子を思い出す。


――昔だ。


そう自嘲気味に笑った清雅を薫は半目で見ている。


「何か?」


「なんで、お前そんなんなんだろうな。」

「は?」


いきなり何を言う。

意味分からん。
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