逢瀬を重ね、君を愛す
「……いいよ、目開けて。」
その言葉にゆっくり目を開ける。
「う……わぁ………!!!」
目の前には桜吹雪。
薄いピンク色の花びらが舞う。
「すっ……凄いよ!!凄い綺麗っ!!」
「気に入ってくれたらなら良かった」
月光に照らされて、花びらが光る。
その1枚を拾いながら薫は笑った。
「連れてきてくれてありがとう。」
「約束しただろ?」
そう言って立てた小指を見せられる。
思い出すのは、あの冬の日。
「頑張ってくれてたもんね」
そう微笑んで彩音は薫の小指に自分の指を絡めた。
「うん。俺すげーがんばった。」
「え、自分で言うんだ。」
クスクス笑うと、薫も笑う。
綺麗な満月の桜の下、2人で肩を並べて眺める。
春といってもまだ夜は肌寒い。
だから隣から伝わる熱が嬉しかった。