逢瀬を重ね、君を愛す
「え?」
とっさに顔を上げると薫と視線が合う。
「いる。彩音が一生懸命作ったんだろ?彩音がこれを俺にくれるって言うなら。俺は喜んで貰う。」
そう言って彩音を掴んだ反対の手で巾着を取ると掴んだ腕を離し、彩音の頭を撫でる。
「ありがとな。」
そう言って笑った薫から目が話せない。
――ドクッと心臓が鳴った。
どんどん体温が上がっていく。
顔が赤くなっていくのを感じ、俯いて言う。
「あ……りがとう。」
高鳴る鼓動を押さえられず、嬉しさで幸せになる。
――どうしよう。
気付いた。
薫の笑顔を見て。
押さえきれないよ。
――私、薫が好き。