逢瀬を重ね、君を愛す
第五章
自覚は不安へ
鼻歌を口ずさみながら廊下を歩く。
「いい天気ー。」
眩しそうに見上げた空は雲ひとつない快晴。
晴れ晴れした空と同じように彩音の心も晴れ晴れとしていた。
「彩音……」
「ん?」
名前を呼ばれクルッと振り返ると、桜乃は何か考えるように彩音を見つめる。
「ど…どうしたの、桜乃…」
あまりにもジッと桜乃が見つめてくるから、少しずつ彩音は後ろへ下がっていく。
「彩音……恋でもした?」
「ぅえ?!」
思わず裏返った声がでる。
「え……ちょ………え!?なんで…え………えぉ………う……」
このキョドった態度で一目瞭然だろう。
深呼吸して落ち着いた彩音は俯き加減に桜乃を見る。
「………な、なんで分かったの………」
そう返してきた彩音の言葉に、桜乃は満足そうな表情で言った。