逢瀬を重ね、君を愛す


「なんか雰囲気がね、明るくなった」

「っ………」


更に顔を赤くすると彩音は恥ずかしくて顔を上げられなかった。
そんな彩音に上から降ってきた声。


「へー、あんた今頃自覚したんだ。」


「へっ…?!………清……雅?」

「正解」


勢いよく顔を上げると、近くの柱に体重を預けて腕を組み、ニヤリと笑う清雅がいた。

そそくさと桜乃は扇で顔を隠して奥へ引き下がる。

この時代、たやすく男に顔を見られてはならないのだ。

その様子を横目で見ていた清雅は目の前の彩音を改めて見る。


「……普通はああだよな。」

「え?なんか言った?」


全く気にする様子もない彩音。


――当たり前か。

彼女はこの時代の人間じゃないんだから。


「や、別に。」

「ん?気になるじゃない、いいなさいよ」

「気にするな、それより………帝が好きなんだってなぁ。」

「っ………!!」




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