逢瀬を重ね、君を愛す
「ったく……部屋多すぎてわかんねぇつーの。」
「諦めればいいと思います。」
清雅に手を引かれながら彩音の部屋を探す。
主に清雅が。
「お前吐けよ!!部屋どこだよ!!!」
「いやっ!絶対言わない!!自分で見つけなさいよ!!」
「ここどんだけ広いとおもってんだよ!いいから教えろって!!」
頬を捕まれ、左右に引っ張られる。
「いひゃいー!!」
必死に離そうとするが、敵うはずもなく目の前で楽しそうにわらう清雅を睨み付けた。
「お前ら仲いいな」
突然の声に振り返れば蛍を伴った薫が立っていた。
「薫!!」
清雅の手を振り払い薫の元へ行く。
ちょいっと薫の服の裾を摘まむと彩音は薫を見上げた。
「まだお仕事?」
「そ。だからまだ清雅と遊んでな」
そういって歩き出した薫からゆっくり手を離す。
「いってらっしゃい」
代わりに薫と着いていく蛍な背に向かって大きく手を降ると、返事のように薫が前を向いたまま手を上げた。