逢瀬を重ね、君を愛す
「………初々しー」
「なに、いきなり」
薫を見送った後、後ろから呆れたように言う清雅を振り返る。
「……睨むのもいいけどなー、その赤い顔どうにかしたら?」
「っ!!」
ぱんっと両手で頬を押さえて隠す。
「好きな奴にあったらそこまで赤くなるなんて…幸せ者だねー、彩音ちゃんは」
からかうように笑う清雅を一瞥すると、「うるさい」とだけいって背を向ける。
「どこ行くんだよー」
スタスタと宛もなく歩く彩音の後ろを清雅が楽しそうについていく。
どこまで行っても着いてくるので、一度止まる。
真後ろから「おっと」という声が聞こえた。
「いつまでついてくる気?」
振り返って問えば、清雅はにやりと口端を上げた。
「さぁ?」
「……」
おどけたように言う清雅に彩音はこめかみに青筋を立てる気分だ。
「あっそ。」
もう知らないと言うようにまた背を向けると、肩を捕まれ反転し、清雅と向かい合う。