逢瀬を重ね、君を愛す
「な、なに」
何故か振り返ると真面目な顔の清雅に少し緊張する。
清雅の口が少し開き、何かを言おうとする。
が、少しためらった後
なんでもないと背を向けた。
「ちょ、最後まで言ってよ!気になるでしょ!!」
スタスタと行ってしまう清雅の後を追う。
―――これじゃあさっきと逆じゃない!!
そう思いながらも清雅の後を追う。
前を歩く清雅は、手のひらで口元を隠した。
―――俺、何を言おうとした…!?
顔に熱がこもっていくのが分かる。
チラッと後ろに視線をやると早足で歩いているのに、彩音は軽く走っている。
―――かわいい。
いやいやいやいや!
すぐに頭を降って思考を飛ばす。
―――ありえないだろ!
パンっと頬を自分で打つと、目が覚めたように前を見つめた。