逢瀬を重ね、君を愛す
そもそもの理由
そして数日後彩音は薫に呼ばれた。
部屋に入ると薫の他に蛍と清雅。
神妙な面持ちに彩音は息を飲んだ。
―――なに言われるんだろう。
不安になりながら足を進めると蛍が薫のまえを促した。
大人しく薫に向き合うように座る。
と同時に薫が口を開いた。
「彩音。」
「は、はい!」
背筋を伸ばして返事をする。
―――妙に緊張する。
ドキドキする胸を押さえて彩音は薫の言葉を待った。
間3拍。
「お前がこの時代に来た原因が分かった。」
「え………」
予想もしていなかった言葉に彩音は目を丸くした。
それと同時に自分が違う時代から来たという事を忘れていたんだと自覚する。
戸惑うそぶりを見せる彩音に優しく薫が問いかける。
「…時空間が歪んだらしい。」
「時空間……」
薫は視線を彩音から清雅へとずらすと、首を縦に降った。
それを受け取った清雅が戸惑う彩音に向き直る。