逢瀬を重ね、君を愛す
「時空間は時代、場所、空間を司る………まぁ、要するに時間を操る空間。元々不安定な時空間はたまに歪むんだ。その歪みを直すのが俺の父親なんだけど…ちょっと見つけるのが遅かったみたいで。彩音が歪みに巻き込まれたんだ。」
淡々と話す清雅の話に頭がついていかない。
頭の上に見えない疑問符を見越した清雅があきれながら要約してくれた。
「つまり、その時空間をいじれば綾音は元の時代に帰えれるってこと。」
「かえ……れる?」
唐突すぎていまいちピンとこない。
「………お前を返すために時空を操るのは次の満月の夜だ。」
「次の……満月……」
反復するように紡いだ彩音は視線を落とす。
あたりには重い空気が満ち、ただ静かに3人は彩音を見つめる。
ぎゅっとスカートの裾を握りしめる彩音の手は力を入れすぎて白くなっていた。
ただ頭に巡る清雅が告げた期日まで。
清雅の示す日まで後3ヶ月しかない。