逢瀬を重ね、君を愛す
真夜中、息を潜めてゆっくり外に出る。
月がよく見える縁側に腰をおろす。
何をするわけでもなく、月を眺めていると床がきしんだ。
「…………薫……」
「隣、いいか?」
いきなりの薫の登場に彩音は大きく頷いた。
「首ふりすぎ、とれるよ」
「だ、大丈夫だもん!」
笑いながら隣に腰かける薫を意識をしながら、空を見上げる。
お互いに何も言わず、ただ静かに月を見つめる。
このまま、時間が止まればいいのに。
そう思うほど、この小さな沈黙が心地良かった。