逢瀬を重ね、君を愛す
揺れる覚悟
清雅に話を聞いてから数日後、ひさしぶりに薫からの呼び出しがあった。
「ひさしぶりだな、彩音」
他愛ない会話から始まった雑談に、彩音は神経を研ぎ澄ませる。
いつもと変わらないように、気を配りながら注意深く会話を続けていると、薫の側に控えていた蛍が口を開いた。
「彩音さん、どうしたのです?」
「え?」
突然の蛍の言葉に思わず声が上ずる。
「今日は様子が変です。体調が悪いなら休んでください」
「だ、大丈夫ですよ!」
慌てて首をふって否定するが、疑いの眼差しは一向に消えない。
助けを求めて薫を見れば蛍と同じ視線で彩音を見ていた。