逢瀬を重ね、君を愛す
何度考えても堂々巡りで、結論なんて出やしない。
膝を抱えて丸くなっていると、どこからともなく数人の足音。


「どこだい、お嬢ちゃん」


そして聞こえてきたあの男の声に、背筋が震えた。



―――あいつだ!


震えだす体を押さえながら、彩音はギュッと息を押し殺した。
そんな行動に対するようにどんどん増えていくやつらの数。


「おまえ、本当に珍しい女なんだろうな」

「ああ、間違いない。なんたって見たことない服装だったんだ」

「ってことは…この国の女じゃねえのか」


高く売れるやなんやの話を、本人が聞いている。
これ以上の恐怖はないだろう。


見つかる時の不安が増す。
< 99 / 159 >

この作品をシェア

pagetop