ビターチョコレート
……ブーッブーッ
…携帯のバイブが鳴っている。
…武田警部補からだろうか?と、携帯のディスプレイを見る。
そこには、“親父”と出ていた。
……ゲ。
と、嫌な顔をし、渋々通話ボタンを押した。
俺の職業は刑事。
親父は、その上を行く…えっと、なんて言う役職やったっけ?
最近把握していなかったので分からないが、早く言えばお偉いさんだ。
「…もしもし?」
そう言っても、すぐに返事は返ってこなかった。
十秒ほどして、やっと親父の声が聞こえた。
「…今日、お前の職場に来てみたら、風邪で休みだって聞いてな」
淡々と、親父は話す。
「心配してかけてくれたんか?」
「体調管理がなっていないんじゃないか」
即答で、言われてしまった。
…ああ、そうですか。お叱りの電話ですか。
と、電話を口から話してため息をつく。
「はい、すみません」
少し嫌味っぽく言った。
「しかし…お前が風邪なんて珍しいな」
「夜中に張り込みの仕事が連続であったから、そのせいやと思うわ」
「そうか…」
親父はそう言って、しばらく黙った。
「…用件、そんな事ちゃうんやろ?」
はじめは、お叱りの電話だと思ったが、なんだか親父の様子がおかしいと思った。
なんだか、話を伸ばしてる感じがした。
「お前は鋭いな…。…率直に言う。」
「はい、どーぞ」
そう言って咳をして、親父の台詞を待つ。
「慎一、お見合いをしなさい。」
「……はあ!?」
俺の目は最大限に開いていた。