ビターチョコレート
「お見合い?」


慎一さんはこれまでの経緯を話してくれた。


慎一さんのお父様がお見合いをするように言ったこと。


慎一さんはお父様の顔をたてる為に行って、相手は奈々恵さんだった事。


お見合いを断る為に、彼女を紹介して諦めさせたいんだって。


「悪いな。黙ってて。」


「いいえっ!そんな、私だって……」


「してたんやろ?見合い。」


「へっ?」


え?何で…慎一さんは知ってるの?


「俺とお前のお見合いの場所、一緒やってんで。
俺、お前見たもん」


「え―――!!
声かけてくださいよ!」


「いや、なんかボケーっと突っ立ってたから、起こすのも悪いと思ってな?」


「立ったまま寝ませんー!」


慎一さんとそう言ってじゃれあっていると、いつのまにか、ゆうちゃんの事は頭から離れていた。


そして、私はある事に気がついた。
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