ビターチョコレート
「そうだ!慎一さん!私の両親にも会ってくれませんか!?」


そうだそうだ!
私も慎一さんを紹介すれば、お父様は考え直してくれるかも!


…と思って言ったのに、慎一さんはあからさまに嫌な顔をした。


「…なんでですか」


私がむくれてそう言うと、慎一さんは笑った。


「うそうそ、ええよ。
千代子の両親もしつこいんか?」


そう言って慎一さんは私の髪の毛をワシャワシャとかいた。


「はい、なんだか…私が産まれた時から決めてたみたいで」


「産まれた時から?
…お見合い結婚するって?」


「そうじゃなくて…ゆうちゃんと……」


「ゆうちゃん?」


慎一さんは首を傾げた。


「ゆうちゃんって、幼なじみなんです。昔から親同士が仲良かったみたいで」


「…お前それ、お見合いってゆうより、婚約者やがな」


……え?
えーっと……


「…そ、そうでした。」


チーン。



と、どこかで音が鳴った。


「アホか。意味ちゃうやんけ」


慎一さんはため息をついた。


「ご、ごめんなさい…」


私はただ、謝る事しか出来なかった。
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