ビターチョコレート
慎一さん…怒ったかなぁ…。


シュンとなり、少し前を歩いた慎一さんの背中をただひたすらに見ていた。


慎一さんはクルッと振り返り、こちらを見た。


「…頑張るわ」


慎一さんは、そう言ってくれた。


自然と私の顔は緩む。


「慎一さんっ!!」


「どわっ!
イキナリ抱きつくな!」


頭を掴まれ、体から離される。


少し唇を尖らせて抵抗した。


「ほら、さっさと行くで!」


そう言ってスタスタと先を行く慎一さん。


「はいっ!今日は、私が頑張ります!」


その場で力み、叫ぶ。
慎一さんは振り返り、こちらを向いた。


「おお。頼むで」


そう言って笑い、私は慎一さんの立っている位置まで走った。


「充電!」


「ドサクサに紛れて手繋ぐな!」


「充電ですー!
いいじゃないですかっ。恋人同士なんですから」


そう言って、笑ってみせた。


「…せやな。」


私と慎一さんは手を繋いだまま、慎一さんのお父様のもとへと向かった。
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