ビターチョコレート
「まま、二人共立ってんと仲入ったら？まだ誰もおらんし」


慎二くんがそう言い、リビングへと入らせてもらう。
綺麗なインテリアで飾られたリビング。


私と慎一さんはソファーに座った。


「へえー、二人は、付き合ってるんですね」


由梨ちゃんがニコニコしてこちらを見る。


「そう、こいつしつこいから」


と、慎一さん。


「えー！しつこいからですか？」


と私は焦る。慎一さんは“冗談やって”と言う顔をして笑い、私はむくれた。


…ガチャッ！
玄関から音がする。


「あ！親父帰ってきた！」


慎二くんは玄関に向かう。


「…来てたのか」


慎一さんのお父様らしい、その人は…なんだか、とても厳しそうな顔立ちだった。


「おお、親父に紹介しようと思ってな」


「…紹介？」


慎一さんのお父様は顔をしかめて、私を見た。


「彼女の、千代子。」


「はっ、はじめまして！松田千代子です！」


ふかぶかと顔を下げ、挨拶をする。


「どうゆう事だ」


と、だけ言い、慎一さんのお父様は慎一さんを見た。


「俺には、彼女がいます。まだコイツは学生で結婚は出来ないですが、今はコイツとしか結婚は考えられへん」


…コイツ…結婚…
私の脳内はお花畑だ。


自然と顔が緩む。“喜ぶな！”と耳打ちされ、姿勢を正す。


「…そうか」


と、慎一さんのお父様は言った。
わ…分かってくれたのかな…？


私はドキドキしていると、慎一さんのお父様はこう言った。


「ただ…向こうの娘さんが、お前の事をえらい気に入ってな。…断れる雰囲気じゃなさそうなんだ」


………ええ！？
嘘…相手の人って…奈々恵さんだよね？


「あのS女…何考えてんねん」


慎一さんはそう呟く。
なんだか怒りのオーラが肌で感じる。
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表紙・目次

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