ビターチョコレート
「どうゆう事やねん!」


とある喫茶店。


私と慎一さんは、奈々恵さんに連絡して、この喫茶店で待ち合わせをしていた。
奈々恵さんが来た時、慎一さんは怒りの一言をぶつけた。


「知らないわよ。お父様が勝手に言ってる事よ。」


「いや、だから断れって…お前、裕貴と付き合ってんねやろ?」


「は?私があんなハゲと付き合ってるわけないじゃん」


「でも、裕貴は…」


慎一さんはそう言いかけて止めた。
口に手を当て、何かを考えている様子。


「…分かった、お前に言っても無駄って事やな」


慎一さんは席を立ち、私も奈々恵さんに礼をして、席を立つ。


「スマンな、面倒な事に付き合わして。」


「いいえっ!でも…」


心配なのは、お見合いの話がどうなるか…


「今度、お前の親にも挨拶しに行くわ。」


慎一さんはそう言って、私の頭を撫でた。
目の前は、私の家だった。



「こっちの事は気にすんな。俺がなんとかするから」


慎一さんはそう言って、帰って行った。
私は頭を手で押さえ、不安の気持ちを隠し、家に入ろうとした。


「千代子」


そこには、ゆうちゃんがいた。


「入ってもいい?」


断るわけにもいかないのでゆうちゃんを家の中に入れた。


「おお、勇次くん。いらっしゃい」


お父様はお休みだったようで、家にいたみたい。


「なんだ?二人はデートでもしてきたのか?」


お父様がそうからかう。


「ち、違いますよ…お父様」


私がそう言うとお父様は笑った。


「失礼します」


私は階段を上がり、ゆうちゃんを部屋に入れた。


「…ちょうど良かった。私もゆうちゃんに話があったの」


私はドアを閉めると、ゆうちゃんに話しかけた。
ソファーに座ったゆうちゃんは、返事をしなかったけど、私はかまわず話した。
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