ビターチョコレート
「…あれ?
なんでおかゆ作ること、知ってたのかな?」
私は立っていた台所を見ると、
いかにも『おかゆ作ります!』な材料が置かれていた。
そりゃ分かるよね…。
しばらくして、裕貴さんが出勤する時間になった。
「じゃー、千代子ちゃん。あとよろしくね!」
「はいっ!いってらっしゃーい」
裕貴さんを玄関で見送る。
「わー、何か、新婚さんみたい!
行ってらっしゃいのチューはー?」
と言って、頬を近付けてくる裕貴さん。
……ゴッ!!
と、音とともに、
裕貴さんはその場に倒れた。
「お前、殺すぞ!さっさと行け!」
なぜか、寝ていたはずの慎一さんがそこにいた。
「もー!冗談が通じないんだから、慎ちゃんは!」
プリプリと、怒りながらドアをしめる裕貴さん。
「…ほんま、しょーもないヤツやわ」
また、咳をする慎一さん
「ああ、ほらー。寝ててください」
「…ええよ。もう、できるやろ?」
「あ、…はい。」
咳をして、リビングに行く慎一さん。