Dear 最愛の君へ
――――――
―――…
『―――より。日和?』
「…っへ?」
『…聞いてた?』
「あ…ごめん…。」
気がついたら、背景は夕焼け。
目の前には自転車を押し歩き、不思議そうにあたしの顔を覗き込んでいる慧がいた。
いつの間に帰り道?
今日の出来事、何も覚えてへんし…。
ただ……1日中、チカのあの言葉が頭から離れなかった。
慧『……日和、どうした?』
「……なんで?なんもないよ?」
笑顔を作り、慧に何もないと精一杯アピールする。
慧『……嘘。
何年一緒にいると思てんの?
ほら、言ってみ?』
「………っ!」
―――なんで…
なんでそんなにわかるんやろ?
なんでそんなに優しく微笑むんやろ?
なんでそんなに優しくしてくれるんやろ?
なんでこんなに暖かいんやろ?