Dear 最愛の君へ
友達に
「―――あ。」
今はやっと朝の授業が終わり、唯一の楽しみと言っても過言でもないランチタイムも終え、しぶしぶ次の授業の教科書を出す為、鞄の中を隈なく探すが、なぜかいっこうに見つからない。
これはまさか……
「忘れた。」
千嘉子『マジで?ヤバくない?
次数学でしょ?ウラウラじゃんっ!!!?』
ウラウラ…もとい浦西先生は学校一厳しくて頭の堅い先生。
教科書を忘れた日には、その日のターゲットとされ何かと当てられるのだ。
絶対忘れたくなかったのに……と、さっきの楽しかったランチタイムも何処へやら、いきなりテンションダウン。
菜夏『まだ少し時間もあるし、他のクラスに借りに行って来たら?』
「あー…そうする。」
千嘉子『あ、D組あるて聞いたで!!!』
―――ドキッ。
菜夏『D組言うたら……山崎くんのクラスやん。
山崎くんに借りて来たら?
もう時間も少ないし、D組てうちらんクラスからやと1番近いし。』
「まぁ…そやけど……。」
確かに慧がいるD組は、E組のあたしらのクラスからだと階段の通路を挟んで隣。
ちなみに真隣のF組は根っからの文系なので、数学がある日の方が極端に少ない為、数学自体がある確率の方が少ない。
千嘉子『あ、日和がうじうじしてる間にほら、時間ヤバイよ!!!!』
と時計を見ると次の授業まであと10分しかない。
「ヤ、ヤバイ!!!
もうD組行ってくる!!!」
菜夏『ほら、早く行きな。』
千嘉子『行ってらっしゃーい♪』
2人に見送られながら、慧がいるD組に走った。
―――クラスの中心から、真っ直ぐ注がれていた切ない視線に気づく訳もなく………。