Dear 最愛の君へ



「あっ!け…い……。」


ちょうど廊下に出ていた目的の人物・慧の名前を呼びながら近づいていったが、その隣に先客がいた為、少し声をかけるのに躊躇い、ほんの少し距離を置いて立ち止まった。


それにしても相手誰だろ?
慧のせいですっかり隠れてわからんし……。

なんか女の子っぽいけど、あたし以外の女の子とまともに喋ってるところ見たことないしなー…。


慧『……日和、どうした?』


なんて立ち止まりながら先客が誰かを考えているあたしの顔を不思議そうに見ながら、慧の方から近づいてきた。


「あ……いや…喋り終わってからでいいよ。」


『あ、伝えたいこと全部伝えたから、大丈夫だよっ!』


慧の背中からひょこっと相手の人が顔を出した。


胸辺りまであるふわふわのナチュラルブラウン髪に白くきめ細やかな肌を持ちながら、スタイル抜群。
小さな顔と比率が合わないんじゃないかと思うぐらいくりくりの大きな目に笑うと出るえくぼ。
そして柔らかくて癒し系の雰囲気を身に纏い、誰にでも優しいみんなの憧れ。
まるで絵に書いたようなお姫様。



この人知ってる……。


学校1の美少女・片掘 叶(かたほり かなえ)先輩だ。





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