悲しき小さな話
アナタとワタシ


貴方に何が分かると言うのか

そう言われたとき
私は分かるわけが無いと言った

貴方は
自分のこの気持ちを
貴方には絶対に分かるわけが無いと言った

それもそうだろう
私は私で在って
貴方では無いのだから

どんなに傷が深くとも
どんなに言葉を紡いでも
私はそれを理解できない

当たり前ではないか

それに

貴方には私を理解できないでしょう

私が貴方を理解できないように


だから
自分一人が
自分だけが

傷を持っているなんて

愚かな事を思わないで


自分だけが可哀想なのだと
悲劇の主人公を演じるのは
貴方の勝手にすればいい

それは
とても気持ちのいい事だから


けれど
これだけは忘れないで

人というものは

必ずしも『傷』という物を抱えて生きている生き物だということを

そして
それは一人一人が違う物なのだという事を






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