陽だまりの午後 ~れおん・マロン・ポン太 ある1日のお話~
―――もう、何年になるだろう?
私もろくにおばあさんとこんな話をしたことはないけれど、いつになく私というものがこれだけ脆いものだと気付けないでいたよ。
いつも可愛がっていたれおんやマリネは、もう私のもとでは可愛がってやれないかもしれないね。
おばあさんにはいろいろお世話になっていたけれど、何一つしてやれない私がいたかもしれないね。
楽しいと思えたことは数知れることなく、私はおばあさんがいたから幸せでいられた。
長年だとよく言うけれど、私にはとても短く思えたよ。
長くいられるということは、とてもいい時間を私たちに与えてくれたということ。
私の病気が治れば、また飽きることなく一緒に好きなところへ旅行にでも行こう。
れおんやマリネにも、もしかしたらまた会えるかもしれないね。
できれば、一晩くらいは一緒に連れて行けたら嬉しいんだけどね。
そういうわけにもいかないかな?
本当に言っておくよ。
もし、私がいなくなっても、おばあさんは何も悲しまないで生きていってくれていい。
私というものがどれだけおばあさんを占めていたのかはわからないけど、本当の意味で私はおばあさんを心から想えていたのかもしれない。