陽だまりの午後 ~れおん・マロン・ポン太 ある1日のお話~
『また明日くるから、おじいさんとの話を聞かせてくれるかな?』
「そういえば、おじいさんも雨が降ると決まって外を眺めていたねぇ。。。でも、その話はまた明日ね。れおんもマリネも、雨が止むまでここでいてね』
『わかったよ。マリネ、そこにいる?』
少し目を開けて、マリネは小さく呟いた。
『あたしはここでいいわ。少し眠いし。。。』
『そう。じゃあ、ボクはここでおじいさんとおばあさんのことについて考えながら、この時に降った雨でも眺めているよ。』
ボクが軒下までくると、ちょうど小雨から少し本格的な雨になりつつあった。
―――思えば、初めて『雨』というものを見たのはいつだっただろう。
ちょうど外を歩いている最中、それに出会った。
ビックリして、しばらく頭上を眺め見てはどうしていいか迷っていた。
早く家に帰りたくて、少し戸惑いながら走って帰ったのを覚えている。
家に帰ると、すぐさま詩織さんに尋ねた。
『詩織さん。ビックリしたんだけど、空からお水が降ってきたんだよね。そんなことってあるの?』
詩織さんは笑った。
『どうしたの?びしょ濡れじゃない。雨に降られたんだね。早くお風呂に入らないとね。ちょっと待ってて』
詩織さんは、少し小走りに部屋の外に消えた。
ボクはその場に立ち続けた。
『・・・雨というものなんだ。なんかビックリした。こんなにびしょ濡れになって・・・なんか寒い。。。』
ボクは、再び窓の外を眺めた。
―――あめ。
そんなものが、ここにはあるんだ。
毎日がお日様だらけだと思っていた。
それだと、たまに降る雨はまるで空が泣いているみたいだ。
そんな日には少し物悲しさを覚えて、外を歩くのが嫌になるかもしれない。
『―――あめ、早く止まないかな・・・。』
少し震えながら、空を見上げていると詩織さんがボクを呼んだ。
「さあ、行くよ。おいで」
あめを感じながら、ボクは詩織さんと共にバスルームへと急いだ―――。