陽だまりの午後 ～れおん・マロン・ポン太 ある１日のお話～

時間帯でいうと、たぶん朝の８時ぐらい。

たかしくんがいつもご飯を用意してくれるのが、確かそんな時間だった。

いつものように、たかしくんが今日もご飯を用意しにきてくれる。

「マロン、おはよ」

『・・・おはよ。』

アタシに用意してくれるご飯は、何故か担当制になっているみたいだった。

それはそれでいいのだけれど、決まってたかしくんの場合はいつもご飯の前にアタシを右手でひょいと掴んでくる。

『・・・痛い。』

ポツリと呟くと、たかしくんは少しはにかみながら言う。

「マロンさ〜、いつもピッとか言って鳴くけどさ〜、ピ〜〜ッとかって鳴けないの？」

『・・・何言ってるの？』

アタシはいつものように無愛想気味に、たかしくんを垣間見た。

『そんなことはいいから、さっさとご飯入れてって。』

「なんかさ〜、マロンはいつも鳴かないよね〜。いっぱい鳴いちゃえよ。オレさ〜、鳴いちゃえば気が済むんだ〜」

『・・・ちょっと大丈夫？早くしてくれる？』

やがて、たかしくんの手から逃れると、アタシはさっそく毛並みを整えた。

『・・・いつもいつもやってらんないわ、ホント。』

思えば、こんな感情を覚えるのは、たかしくんの場合だけだった。